大判例

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東京高等裁判所 昭和43年(う)2134号 判決

被告人 倉橋享 外一名

〔抄 録〕

所論は、原判決は、原判示第一の(一)、同第二の(一)の各事実について、罪とならないのに有罪と認定したものであつて、右は法令の適用に誤があり判決に影響を及ぼすことが明らかであると主張する。そして、その理由の要旨は、道路交通法(以下道交法という。)第八五条第三項に規定する牽引自動車とは、道交法第三条に規定する大型特殊自動車の一種である牽引車を指示するのみならず、被牽引車を牽引するための構造および装置を有し、かつ、もつぱら牽引のために使用される自動車であると解せられるから、本件大型貨物自動車(以下本件自動車ともいう。)はこれに該当しない、また、原判決が軽車両と認定している本件スクレーパーは、主として宅地造成等に使用する土木建設機械であつて、道路上での運転の用に供せられるものではないから、到底車両の概念には包摂し得ないものであり、仮に、軽車両に属するとしても、これが牽引されるための構造および装置を有していないから道交法第八五条第三項に規定する重被牽引車に該当しない、というにある。

よつて審按するに、原判決挙示の各証拠を綜合して考察すると、

(一) 本件自動車の荷台後部には牽引用ピントル、フツク、本件スクレーパーの梶棒先端には牽引用金具が取り付けられ、これらをシヤツクルと称する金具を用いて連結する装置がなされていること

(二) 本件自動車およびスクレーパーに存する右構造および装置は、運輸省令で定める保安上の技術基準に適合するものとはいえないけれども、前者については牽引するために、後者については牽引されるために、それぞれかねてから設備されていたものであつて、本件自動車およびスクレーパーは、道交法第八五条第三項に規定する牽引自動車および重被牽引車に該当するものであること

(三) 道交法第八五条第三項所定の牽引自動車とは、論旨指摘の大型特殊自動車だけでなく、大型自動車(本件大型貨物自動車)をも含み、また、本件スクレーパーは、論旨指摘のような用途の機械であるとしても、道交法第二条第一一号の軽車両に該当するものであること((四)、(五)略)

を認定することができ、記録を調査し、当審における事実取調の結果に徴するも右認定を覆するに足る証拠はない。それゆえ、原判決が被告人倉橋享の原判示第一の(一)の所為について道交法第八五条第三項、第一一八条第一項第一号、被告人井上広明の同第二の(一)の所為について同法第七五条第一項、第一一九条第一項第一二号をそれぞれ適用して処断したのは相当であるというべく、原判決には所論のような法令適用の誤はないから論旨は理由がない。

(飯田 吉川 小川)

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